住吉誠・鈴木亨・西村義樹(編)『慣用表現・変則的表現から見える英語の姿』(開拓社, 2019)

本書は、2017年11月に開催された日本英語学会でのシンポジウムでの報告を中心に、その他の研究論文も加えて編集されたものです。冒頭に、「慣用表現・変則表現とはどう考察されてきたか」というタイトルの編者3名による序論がついています。

家入は、本書の第2章を分担執筆しました。書誌情報は、以下のようになります。

家入葉子. 2019. 「現代アメリカ英語のrumor―Corpus of Contemporary American Englishの分析から―」住吉誠・鈴木亨・西村義樹(編)『慣用表現・変則的表現から見える英語の姿』pp. 18-34. 東京:開拓社.

Mark Davies提供のウェブコーパス、COCA (Corpus of Contemporary American English) の一部を用いて約1000例のrumorを収集し、そのコロケーションを中心に分析した論文です。名詞のrumorと共起する動詞、形容詞、名詞を中心に分析しました。また、数は少ないですが、動詞のrumorについても受動態で使用される傾向がどれほど強いかなどを議論しています。

『慣用表現・変則的表現から見える英語の姿』の目次

まえがき

『慣用表現・変則的表現から見える英語の姿』には、多数の興味深い論考が含まれています。他の著者の論文もご覧ください。以下に目次をリストしておきます。

第I部 序論
第1章 慣用表現・変則的表現はどう考察されてきたか(住吉誠・鈴木亨・西村義樹)

第II部 変容する現代英語の語法
第2章 現代アメリカ英語のrumor — Corpus of Contemporary American Englishの分析から –(家入葉子)
第3章「懸念」を表すfearについて(五十嵐海理)
第4章 句読法から語用論標識へ — Periodの談話機能の発達と今後のアメリカ英語について –(柴崎礼士郎)
第5章 動詞のパタンに見られる変則性(住吉誠)

第III部 慣用表現の成立と文法
第6章 慣用表現 “if X is any indication [guide]”について(平沢慎也)
第7章 使用基盤モデルから見たmake/let使役構文(西村義樹)
第8章 結果構文の強意読みと慣用表現(都築雅子)
第9章 断定のモダリティ表現”it is that”の特性(八木克正)

第IV部 構文の意味と慣用の拡がり
第10章 three brothers and sistersの不思議(小早川暁)
第11章 活動動詞を含む属性評価文の拡張と両義的解釈(鈴木亨)

第V部 言語使用における慣用と変則
第12章 コーパス解析に基づくテキストジャンルと名詞の用法の関係性(後藤章一)
第13章 フィクションのテンスとダイクシス(内田聖二)

執筆者紹介

関連の論文

Iyeiri, Yoko. 2021. “Rumour in Early Modern English: Its Usages and Collocations”. Memoirs of the Faculty of Letters, Kyoto University 60: 133-161.

この論文では、初期近代英語における名詞と動詞のrumourのコロケーションを扱いました。現代英語のrumourの用法と比較することで、rumourの語彙としての史的変化を見ることができます。