Toshio Saito, Junsaku Nakamura, and Shunji Yamazaki (eds.), English Corpus Linguistics in Japan (Rodopi, 2002)
Rodopi社のLanguage and Computersシリーズから
Rodopi社のLanguage and Computers: Studies in Practical Linguisticsシリーズの1冊として、日本人研究者のコーパス言語学に関する論文集が出版されました。Geoffrey Leechが序文を寄稿しています。第一部がCorpus-based Studies in Contemporary English、第二部がHistorical and Diachronic Studies of English、第三部がEnglish Corpora and English Language Teaching、第四部がSoftware for Anlyzing Corporaとなっています。
中英語から初期近代英語にかけてのanyの発達
家入は、第二部に中英語から初期近代英語期にかけてのanyの発達を扱った論文を寄稿しました。書誌情報は以下のようになっています。
Iyeiri, Yoko. 2002. “Development of Any from Middle English to Early Modern English: A Study Using the Helsinki Corpus of English Texts”, in English Corpus Linguistics in Japan, ed. Toshio Saito, Junsaku Nakamura, and Shunji Yamazaki, pp. 211-23. Amsterdam: Rodopi.
古英語・中英語は基本的に多重否定(一つの文中に複数の否定語があっても否定の概念がキャンセルされない)を許容する英語です。この段階では、現在のような否定構文に特徴的にあらわれるanyは、まだ発達していません。中英語の終わりから初期近代英語にかけての時代は、多重否定が急速に衰退する一方で、非断定形が発達していく重要な時代です。英語におけるこの時期のanyの拡がりを、Helsinki Corpusを使用して分析しました。
関連の論文
- Iyeiri, Yoko. 2006. “The Development of Non-assertive any in The Paston Letters“, in Textual and Contextual Studies in Medieval English: Towards the Reunion of Linguistics and Philology, ed. Michiko Ogura, pp. 19-33. Frankfurt am Main: Peter Lang.