『語法と理論の接続をめざして』金澤俊吾・柳朋宏・大谷直輝(編)(ひつじ書房、2021)
ひつじ研究叢書の173として、『語法と理論の接続をめざして — 英語の通時的・共時的広がりから考える17の論考』が出版されました。I. 意味論、II. 英語史、III. 統語論、IV. 形態論、V. 談話分析からなります。内田充美さんとの共著で、「Caxtonの翻訳英語に見るupとdown」を寄稿しました。II の英語史のセクションです。
書誌情報は以下のようになります。
内田充美・家入葉子. 2021.「Caxtonの翻訳英語に見るupとdown」金澤俊吾・柳朋宏・大谷直輝(編)『語法と理論の接続をめざして — 英語の通時的・共時的広がりから考える17の論考』pp. 149-168. 東京:ひつじ書房.
William Caxtonの英語の運動を表す表現に焦点を当てながら、フランス語から中英語への翻訳の場合とオランダ語から中英語への翻訳の場合でどのような違いが観察できるかを議論した論文です。移動を伴う運動をどのように表現するかは言語によって異なっており、類型論的な意味合いを含む重要なテーマです。現代英語についての研究事例は多数あるのですが、歴史的な視点が加わったものとなると、その数が少なくなってきます。本論文は、中英語の、しかも翻訳というセッティングを研究に応用した点で、かなりユニークなものとなっています。