初期近代英語について

themedievalistの中に、“Medieval and Renaissance: What’s the Difference?”という記事があります。中世とルネサンスの関係をどのようにとらえるかについて、興味深い議論がされています。時代の区切りが解釈の問題であることがよくわかります。

初期近代英語という時代

初期近代英語(1500年頃ー1700年頃)は、比較的言語の変動が大きかった時代です。Terttu Nevalainen, An Introduction to Early Modern English (Edinburgh University Press, 2006) は、初期近代英語の全貌を見渡すのに最適な著書の一つです。英語も議論の進め方もすっきりしているので、これまでに数回、授業で使用しました。

少し詳しく学びたい場合は、Roger Lass (ed.), The Cambridge History of the English Language, Vol. 3: 1476-1776 (Cambridge University Press, 2000)も合わせて参照しましょう。

初期近代英語期はWilliam Shakespeareなどの著名な劇作家が出た時代でもあります。Shakespeareの英語に関する研究書や入門書は多数ありますので、言語についてのものを探して読むと、Shakespeareの英語だけでなく、初期近代英語全般についての示唆を得ることもできます。たとえば、Norman Blake, A Grammar of Shakespeare’s Language (Palgrave, 2001)などがあります。本書は、Shakespeareの英語はもちろんですが、初期近代英語全般について幅広い知識を身につけるのに最適です。コンパクトな印象の本ですが、扱っている文法項目がとても多いのが特徴的です。

初期近代英語を読むための辞書

初期近代英語の文献を読む場合、辞書はThe Oxford English Dictionaryでほぼ対応できます。ロングセラーのC.T. OnionsによるA Shakespeare Glossaryも、必要に応じて参照してみてください。

OEDについてのページへのリンク

Shakespeareの電子テキストへのリンク

Early English Books Online

初期近代英語に出版された大量の本のデータを収めたEarly English Books Online (EEBO) は、Brigham Young UniversityのMark Daviesのサイトに公開されているコーパスにも、EEBO Corpus(EEBOの一部)として収められています。こちらのコーパスのリストからEarly English Books Onlineを選択して検索してください。一部には、中英語の印刷本も含んでいます。データが膨大なので、文献の絞り込み(あるいは文献の選択)が必要になることもあります。また、古い時代に特有の異綴りには十分注意してください。レマ検索、タグ検索も基本的には使えない(システム上使えるのですが、膨大な取りこぼしが起こります)と考えていただいた方がよいです。

EEBO本体は、京都大学図書館機構のページのデータベースから、リンクをたどってください。データベース本体では、画像ファイルなどもダウンロードすることが可能です。

ウェブコーパスのページでも、EEBOについて詳しい情報を提供しています。

英訳聖書

British Libraryのデジタルコレクションにさまざまな文献の画像と詳しい説明があります。Tyndale’s New Testamanet, 1526は、こちらKing James Bible, 1611は、こちら

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