言語の変異と変化

このページは言語の変異と変化を扱う授業のために作成されたページです。2024年度は、京都大学の英語学演習1では、Calude, Andreea S. and Laurie Bauer, Mysteries of English Grammar: A Guide to Complexities of the English Language (Routledge, 2022) を、神戸市外国語大学では、Laurie Bauer, Watching English Change (Pearson Education, 1994) を教科書として使用します。どちらも言語の変異と変化を扱った読みやすい著書になります。

Language Change

この他に、R. L. TraskのLanguage Change も英語の成り立ちから現代英語のヴァリエーションまで、幅広く言語の変異と変化を扱った名著があります。日本語の註がついた本を作成しましたので現在では日本の書店で簡単に入手できます。

規範文法と記述文法

文法には、初めに規則を示してその規則に従うべきだという考え方による規範文法(prescriptive grammar)と、文法に対する先入観をなく言語を観察して実際の姿をそのまま記述していこうとする考え方に基づいた記述文法(descriptive grammar)があります。学校文法には多少規範的な側面が入り込むことはやむを得ないのですが、言語学研究は基本的に後者の記述文法の考え方に基づいて進められます。言語の中にはさまざまなバリエーションが存在していて、その多くが言語変化に繋がっていくことが多いので、バリエーションの観察は、言語変化を理解する上で極めて重要なカギとなります。

一方で、規範文法がどのようなものであったかを理解しておくことも重要かもしれません。コトバと文化のフォーラム(家入のブログ)ではRobert Lowthや規範文法に関するページも作成していますので、参照してみてください。

コトバと文化のフォーラムでは、記述文法と規範文法全般についてのページも用意しています。

基本的な記述文法書

英語学の卒業論文、修士論文では、どのようなテーマを扱う場合も、以下の3点の文法書には必ず目を通すことになります。これらは、典型的な記述文法の考え方に基づいて編纂されています。いずれも、専門家も利用する文法書です。

  • Biber, Douglas, et al., Longman Grammar of Spoken and Written English (Longman, 1999).
  • Huddleston, Rodney, Geoffrey K. Pullum, et al., The Cambridge Grammar of the English Language (Cambridge University Press, 2002).
  • Quirk, R. , S. Greenbaum, G. Leech, & J. Svartvik, A Comprehensive Grammar of the English Language (Longman, 1985).

言語変化

コトバと文化のフォーラムでは、以下のようなページも用意しています。

  • 個人の言語から見た言語変化 — このページでは、秋元実治先生の『イギリス哲学者の英語 — 通時的研究』(開拓社、2023年)を紹介しています。
  • 言語変化と人々の意識 — 言語変化には人々の意識がかかわるものとそうでないものがあります。このページでは、言語変化に影響を及ぼす可能性がある人々の意識について、関連の文献の一部を紹介しています。
  • 意味変化 — このページでは、意味変化の特殊性に言及します。

その他